28ー31章
苦悩さん、
いままでのあなたからの手紙で心配させられています。我々の状態・目的をほんとうに知っているのでしょうか。戦争があまり重要でないと言ったのは、それからあまり期待しないようにという意味で、全く無関心になるようにということではありません。あなたの患者がいる所に爆弾が落とされることをあなたは嬉しく書きましたが、人間の苦しみの目的を忘れたのですか。人間を敵から引き離すことになったらいいのですが、あなたの患者の場合、こういうことになりません。彼の死を避けたいと思います。
彼は我々の攻撃に立ち向かっています。世的友人から離れ、クリスチャン女性と恋をし、霊的生活を攻撃されても、いまのところはしっかり立っています。戦争のために、女のために、他人のことに心を配り、敵にたよることを覚えています。いま死んだら我々は彼を永久に失うことでしょう。
死と言う者は恐れるべきものだと人間に思わせていますが、我々もこの嘘を信じてしまうのは、とんでもないことです。他のクリスチャンも彼の安全のために祈っているかもしれませんが、いまのところ、これはあなたの最高努めでなければならないのです。戦争を生き残し、年を取ると、物質的考え、よい評判と安楽を欲しがる願いなどを通して彼を倒すことができるでしょう。
若者は理想的物を求め、観念に目が引かれます。宗教でなくても、音楽・詩・鳥の歌・景色などを考えます。我々はこういうものを哲学・心理学を通してこの世の者で実現するものだと考えさせなければなりません。もちろん、経験・成熟に高慢を加え、真の世的死を求めさせるのです。
とにかく、あなたの患者を長生きさせ、堕落させることに心がけてください。
スクリューテープ
苦悩さん、
ドイツ軍があなたの患者が住んでいる町を爆撃すると聞きました。これについての我々の作戦ですが。
恐怖感と憎しみを合わせて彼に与えるのです。臆病のみは苦しいだけです。予想するのみ苦しい、感じれば感じるほど憎しみで払い返すことでしょう。
自分の憎しみであると気づかせないで下さい。周りに苦しんでいる女や子供のために攻撃を憎んでいるのだと考えさせるのです。
注意深く動かなければなりません。歴史上、人間は臆病を恥と思い、悔い改め、敵の側についてしまうことがあります。平安のときは、善悪を考えないでいられますが、危ない状態の場合は違います。敵が危ない世を造ったのもこの目的を心に留めてあったのでしょう。道徳的事柄を考えないではいられないからです。
ということで、あなたの患者を臆病にするのも我々にとって危ないことかもしれません。一方、自分の臆病に気づき、絶望に陥るのは、大きな勝利となります。他の罪は赦されても、このような深い罪のために哀れみを求めることはできないと思わせることができるでしょう。
恐れを引き起こすために、彼の考え方を少し曲げてみてください。「私はここでーーをしなければならない」という考えを忘れさせ、「Aが起こってしまうと、Bをすることができるし、最悪が起こってしまった場合、Cができる」と、考えさせてください。敵に頼るより、他の作戦に保証を、安全を求めさせるのです。
恐れの感情のみは罪になりませんが、緊張を積み立て、一瞬間で臆病の行為を起こしてください。
スクリューテープ
苦悩さん、
あなたからの最近の報告で不快を感じました。あなたは一体何をしているのですか。
戦いに入った時のあなたの患者の反応は、我々にとって最悪でした。とても恐くなり、自分のことを臆病者と考え、高慢な態度はもちろんとっていません。一方、自分のすべきことは全部しています。
彼の疲れからいい結果を出すとあなたはいっていますが、自然に起こるものではありません。場合に、疲れから優しさ、冷静、夢らしいものが生まれます。肉的疲れ以上精神的疲れを加えてみてください。誤った期待を与え、それを長引かせるのです。そして難しい状態を耐え忍ぶ決意をするのでなく、「ある期間試練にたえる」ように考えさせてください。もちろん、この期間というものは、試練の実際い長さより少し短いだけでいいのです。このように、明るみが来るちょっと前に人を堕落させてください。
女に会うときはストレスをどの程度感じているか分かりませんが、この機会を生かして下さい。例えば、疲れた女性はもっと話すようになり、疲れた男性はしゃべらなくなります。
いまの状態のなかで彼の信仰を知的に攻撃しないかもしれませんが、感情的攻撃は考えられます。現実の観念を混乱させてください。死体を見るとき、これが本当の世だと思うと同時に、宗教的経験は空想なものだと思わせてください。我々の働きにより、幸福に関するものは、物質が事実であり、人のこれに対しての気持ちは主観的なもの。不幸に関するものは、霊的事柄が現実であり、それらを無視することは現実逃避主義者になることだと考えるようになっています。戦争や貧乏はひどい現実であり、平和と富福は物質的恵みに対しての単なる気持ちなのです。
スクリューテープ
苦悩さん、
あなたは魂をなくしてしまった。 愚かもの!
ーーそれにとても簡単に!徐々に疑問を感じたり、医者に病名を宣言されたり、老人ホームに入れられたりーー一瞬間で解放されただけです!我々の世界、すなわち、爆弾の音、家がくずれ、唇・足は疲れで痛み、心は恐怖で凍り、一瞬間で全てが消えるとは。あなたは愚かで負けてしまったのだ。患者が新しい命を知ったことを考えていなかったのですか。一瞬間で彼の全ての疑問はばかげたように見えたのです。
そして、あなたが彼を見ることが出来るように、彼もあなたが見える様になりました。それに、敵の霊もみることができ、新しい会話もできました。一生助けられていたものと自由にはなすことができました。
彼がいま知った喜びも何と言えるでしょう。生きている間の世の最高な楽しみも今の状態に比べて、吐き気と感じるでしょう。痛みを抱いて歩むことを学んだのですが、これからはすべて消えます。一生愛した親愛のものがーー死んで生きかえったと信じたものがーー彼のすぐそばにいるということをわかります。そして、我々の数字で説明できないものに出会いしています。
あなたみたいな弱い者を考えると、絶望するほどです。が、終わりに我々が勝たなければなりません。その間、あなたにいいたいことがいっぱいあります。
スクリューテープ
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